千葉地方裁判所 昭和53年(ワ)511号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【説明】原告(本件車両―建設機械の所有権留保付売買の売主)は被告らに対し、所有権に基づき本件車両の引渡を求め、これに対し、被告らは、本件車両の訴外者である買主から売買により転得したとして即時取得を主張した。判旨は、占有開始にあたつての被告らの過失の有無に関する。
【判旨】
五原告は被告林および被告会社が本件車両の占有開始するについては悪意もしくは過失があつた旨主張するので、以下その点につき判断する。
(一) <証拠>を総合すると、本件車両は新品同様でほとんど使用した形跡はなかつたこと、車体には製造会社である東洋運搬機株式会社の略号TCMが何か所かに掲げられているほか、運転台のプレートには正式の社名そのものが記載されていること、被告林および被告会社が本件車両の譲渡契約を締結するさい、いずれも訴外森田の印鑑証明ならびに譲渡証明書が添付されていたが、右証明書には森田の名が記載されているのみで当初の販売者の記載はなく、従つて右森田が本件車両を誰からどのようにして取得したか詳らかにする資料はなく、それにも拘わらず被告林も、取引の衝に実際に当つた被告会社代表者大滝も、製造会社等への照会や前記森田の締結した契約書等を直接調べなかつたのは勿論のこと、森田が本件車両を取得するに至つた経緯やその代金が完済ずみであるかどうか等の点について、なんら調査等していないこと、一方被告林も被告会社も自動車等を売買した経験を有していること、以上の事実が認められる。
(二) そして右事実と、前記本件車両の価格、また本件車両のような建設・運搬機は通常割賦販売でかつ所有権留保の形式で取引されていることなどの諸事情を合わせ考えると、被告林もしくは被告会社は本件車両の占有を開始するに当り、その各相手方が適法な権利者であると信ずるにつき、少くとも過失があつたというべきである。
(鈴木経夫)